僕は機械設計エンジニアを派遣したり、他社業務の一部を請け負ったりする、エンジニア派遣会社(アウトソーシング会社)で8年ほど正社員として働いていました。
比較的早く出世をしたことで、会社で働く色々な人を見ることができました。
そこで実際に見てきた、エンジニア派遣を行なう会社、エンジニア業務のアウトソーシング会社でのキャリアについて書いていきたいと思います。
- 機械設計エンジニア派遣会社への入社を考えている方
- 機械設計エンジニア派遣会社で今後のキャリアが見えない方
の参考になればと思います。
あくまで僕の会社での8年の経験から見えたことですが、参考にしてください。
※詳細を書いていきますが、ざっくり知りたい方は最後のまとめに飛んでください。
設計業務を行なう部署
まずはどんな会社・部署にいたのか。
僕がいた会社は、会社自体は大きく、色々なことをしていたのですが、
その中で自動車関連や家電関連のお客様に設計エンジニアを派遣したり、そのお客様から業務を受注して自社エンジニアで行なう、というようなことをしている部署に配属になりました。
少しややこしいかもしれませんが、僕は自分の会社に所属する正社員で、お客様企業に派遣されるという仕組みです。
部署の規模は全国で400~500人くらいでした。
僕はそこに新卒で入社しました。
1~5年目【派遣先or転職】
新卒か中途かにも多少は左右されますが、今回はエンジニア業務未経験での入社を前提にします。
まず1年目、僕のいた会社では未経験の社員には2か月程度の研修が行われます。
内容としては設計用CADの操作方法、業界関連の座学などです。
この2か月というのは感覚的には短いです。同業他社では最初の1年は研修するという会社も聞いたことがあるので、それと比較すると圧倒的に知識が足りない状態です。
2か月程度の研修の後に配属先が決まったらお客様企業に派遣されます。
ここからは派遣先によるので、圧倒的に運です。
派遣先が求めているレベル・スピード感によっては何もできないまま研修に戻されることもあります。
多くの場合は社員の経歴から、すぐに戦力にはならないと派遣先企業も理解しているため、一生懸命さが見えれば様子を見てくれたり、育ててくれる場合もあります。
最初は何もできない中で、一緒に派遣されている自社の社員や派遣先企業のお客様に教えてもらいながら、1年くらいすると、簡単なことならできる仕事がいくつかできてくるかと思います。
とは言え、求められているレベルからすれば1割もできていない状態であることが多いです。
最初の関門は、この1年目を乗り切れるかどうかです。
上記の通り、派遣先からの期待に対して出来ないことが多すぎるため、派遣先の環境によっては精神的に物凄く追い込まれることになり、1年目で退職してしまうということも少なくありません。
2年目は引き続き、一生懸命に仕事を覚えます。まだまだ出来ない、知らないことだらけです。精神的には慣れてくることもあり、1年目ほどの辛さではないはずですが、それでももう耐えられないと退職する人も一定数います。
この場合、僕の周りの同期たちは全く別の業界に転職することが多かったです。まだまだ専門知識のアドバンテージがつくような段階でもないためです。
3年目になると人によっては戦力としてカウントできるレベルになります。このあたりから個人差が付き始めます。評価に差が出始めて、給料も微々たる差ですが変わります。
4~5年目になると、人によってはチームのリーダーを任されるようになります。業務理解が進み、自分で判断できることが増えます。
一方で、自社の製品を設計したいという思いからメーカーへの転職を検討したり、逆に設計というものは自分に合っていないとの思いから未経験の業種に今のうちに転職しようと考える人もいて、転職が増えます。
ここでエンジニア派遣においてのキャリアプランで選択肢になる、「派遣で経験を積んで転職」が出てきます。
僕の周りを見たところ、実際に4~5年目のタイミングで転職に成功した人もいました。ただし、例えば自動車業界で言えばマザーメーカーのような大企業に転職というのは難しいという印象です。というのも未経験から4~5年で実績を残せるような業界ではない(という職人気質な考えもあり)からです。
また、「派遣先と関係性を作って、そこに転職」というのも、難しいと思います。よっぽど派遣先にとって必要な存在になればあり得るかもしれませんし、そういった例を聞いたことが無いわけではないのですが、会社同士の関係性にひびが入ることがあるので派遣先にとっても多少リスクがあります。
なので、もともと会社同士で話ができていたり、それを推奨している派遣会社(紹介予定派遣のような契約)なら別です。僕の会社は紹介予定派遣はなかったので、それについては詳しくなく、申し訳ございません。
6年目以降【派遣先orマネジメントor転職】
6~7年目になると、派遣先でチームのリーダーになったり、技術的にレベルが高い業務を自分が中心になって行なうようになります。そうなると給料も上がります。
早ければこの辺りで、僕の会社ではもう一つ、マネジメント側に行く選択肢も出てきます。
具体的にはエンジニアの管理や、派遣先のお客様企業との折衝などを行なうポジションです。そこで結果を出せば管理職になっていきます。(早ければなので、+5年くらいの差はあると思います。)
会社にもよると思いますが、僕の会社では管理職に繋がるマネジメント側に行ったほうが給料の上がるスピードは速いです。ただし、激務であることが多いです。まあ中間管理職なんて業界によらずかもしれませんが。
また、6年目以降になると、転職も増えます。ただ、1~5年目に比べて、同業他社への転職が増えます。設計エンジニアとして履歴書に書ける経験も出てくるので、同じような仕事で給料が上がる会社を選ぶという選択をすることができます。
エンジニア派遣会社入社後のキャリアの選択肢まとめ
今回はエンジニアの派遣を行なっている会社に機械設計未経験で正社員として入社したことを想定し、実際に会社で経験した僕が周りの人たちのキャリアプランを参考に実例を出しました。
- 派遣先→退職(異業種への転職)
- 派遣先→エンジニアとして経験→メーカーへの転職
- 派遣先→エンジニアとして経験→同業他社への転職により給与アップ
- 派遣先→エンジニアとして経験→自社評価を高めて給与アップ
- 派遣先→エンジニアとして経験→自社マネジメントへ→管理職
ざっくり分けると上記のような選択肢が僕のいた会社ではありました。
コロナ禍においては自動車メーカーで派遣を大量に切っていった会社もありますが、今は逆に求人が出始めたりしています。
そういった会社都合で異動(転勤)することもあり、一つの会社(配属先)でずっと働きたいという人には向いていません。同じところで15年とか一定数はいますが、絶対はないので。
僕は上記『5』のパターンでしたが辞めました。給料は割と良かったですが働いている時間を考えると時給換算では良くないと思いましたし、身体が持ちませんでした。
周りでは『2』『3』のパターンが多かったです。特に派遣先で優秀だった人ほど7~8年目で転職する人が多かったです。
逆に10年を超えると転職する人はグッと減り、『4』のパターンが多くなります。かといって給与が大きく上がる人は少ないので一部の優秀な人を除いて、派遣先で燻っている社員が大半です。
まとめると、「エンジニア派遣会社で経験を積んで転職」というのは多いキャリアプランです。ただし、7~8年くらいでその判断をすることをおすすめします。
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